ゲーム開発側から見た「重厚長大主義」 Game Programmer's (web)Log

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ゲーム開発側から見た「重厚長大主義」

以前コメントでご指摘いただいた、ゲームにおける「重厚長大主義」の
問題点を、ゲーム開発の立場側から少し考えてみたいと思います。
ただし、これらはあくまで日本国内のコンシューマ機市場での話
だと思ってください。

プレイステーション2(PS2)が台頭してきた頃からか、
あるいはそれよりももっと前からか、ビデオゲーム界において、
ある種の「重厚長大主義」というものが見られるようになりました。

これがどういうものかと言うと、
・プレイ時間が長いもの
・ストーリーや世界観が壮大で、広がりがあるもの
・主題歌や声優陣、ムービーなど、演出的要素の豪華なもの
・宣伝広告費に多額の予算を充てているもの

などなどです。

ニンテンドーDS以降の、いわゆる「脳トレ」ブームは例外として、
昨今のゲームではユーザに対するアピール方法として、
「いかにこのゲームに大作感があるか」というのを重要視している
向きがあると私は考えています。
実際問題として、大作感のないゲームというのは
売れにくくなっている
とも私は考えています。

そうなっていった原因はいくつもあるとは思います。
一つにはゲームソフトの中古市場が当たり前のものになったことです。
メーカーにとっては頭の痛い話でもあるのですが、
(この話もいずれ別のエントリで書きたいと思います)
ユーザにとってはなくてはならない存在であることは間違いありません。
プレイ時間が短い、あるいはコレクターアイテム的に手元に持っておく
価値を感じないソフトというのは、発売から間もなく、
値段の高いうちに売ってしまおうと考える人は少なくないでしょう。


また、もう一つには、ゲームのタイトル数が膨大になっている
ということも考えられるでしょう。
一時期のバブル期と呼ばれていた、スーパーファミコン、
プレイステーション(無印)時代では、タイトル数では
今と変わらずかなりの数があったものの、有名タイトルや
評価されたタイトルの割合というのは、そこまで多くなかったように思います。
(あくまで体感ですが)

しかし、今は1週間のうちに、購入を迷ってしまうほど、
良質なタイトルが量産されるようになりました。
その結果、ユーザの好みもかなり多様化していき、
「出せば売れる」のような時代はもう終わりを告げた
と言えます。
その中で購入してもらうためには、他のゲームよりも
そのゲームがいかに優れているかをアピールする必要が出てきます。

ユーザは、自分から能動的にゲームの情報を漁ることなく、
テレビや書籍(ゲーム関連とは限りません)、ネットなどの媒体から、
自然と多数のゲームの情報が入るようになってきた昨今ではなおさらです。

さて、重厚長大主義の起こりとなった原因の考察は以上にして、
それがゲーム開発側にもたらした影響について考えてみます。

まず、ゲーム開発にかかるコスト、それも、ゲーム本編制作以外での
コストが爆発的に増大したことにより、
それだけたくさんのユーザにゲームを買っていただく必要が出ます。
単純に、従来の2倍のコストをかけたゲームが、2倍の本数売れなければ、
コストのかけ損
ということになってしまいます。

たくさんのユーザにゲームを遊んで(買って)いただくために、
手っ取り早く実行できることは、ジャンルや世界観を、
最大公約数的なターゲットに絞る
ということです。

ジャンルという話で言えば、ロールプレイングゲーム(RPG)は、
嫌い(関心がない)という人が他ジャンルに比べて少ない
と思われます。
また、先に書いた「世界観の広がり」「ムービーの豪華さ」という点で、
大作感を出しやすく、アピールしやすいというのもメリットです。

また、ゲームとしてのジャンルだけでなく、世界観としてのジャンルでも
最大公約数的ターゲットとして、「中世ファンタジー」が選択される
場合が多くなってきているように思います。
または、現代もの、とりわけ学園ものやホラーものは、
ユーザが親近感を得られやすいため取られることも多いです。

逆転的な発想で考えると、大作感を出しやすい、中世ファンタジーものの
RPGであれば、ある程度冒険してコストをかけることができますが、
その他のジャンルのものは、あまり多くのコストをかけることが
難しい
と言えるでしょう。
特に予算の取れない中小デベロッパであればなおさらです。

「昔はよかった…」というわけではありませんが、
以前であれば、和風(戦国ものは昨今のブームで増えてきていますが)、
スペースオペラ、サイバーパンク、(「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のような)
ハードコアな意味でのファンタジーなどなど、
RPGひとつ取ってみてもいろいろなものがあったと思うのですが、
国内市場に関して言えば、そういったRPGはほぼ死滅したと言っても
過言ではないように思います。
(なくはないですがあまり成功していないように思います)

ニッチな層を狙って成り立っているゲームメーカーもありますが、
いかんせんやはり「ニッチ」ですので、冒険はあまりできませんし、
「細々と」という表現になってしまう規模に留まっているように思います。

つまりは、ゲーム開発側が、作りたいゲームを存分に作る
ということがしづらい状況になっているのではないか
ということです。
初めから最大公約数的な好みのゲーム開発者であれば幸せですが、
そうでない人は、やはり自由にゲームを作りたいと感じることもあるでしょう。
もちろん、その制約の中でベストを尽くすのがプロなわけですが。

そして、ゲーム開発側も、その問題からの逃げ道を模索しています。
「逃げ道」という表現にしたのは、問題の根本的解決になっているかが
微妙であるためです。

一つには、海外に視野を向けることです。
単純に考えて、アメリカ(北米)には日本の何倍もの人口があり、
何倍もの数のゲームユーザがいます。
それでいて、日本ほどには優良タイトルの数は多くないと思っています。
海外ゲームの特徴として、面白いゲームはとことん面白いのですが、
そういったゲームはあまり数多くないというのが私の印象です。
(あくまで主観です)

日本では売上が乏しく、採算に合わないものでも、
ユーザ数が多い海外であれば採算が取れる可能性が出てきます。
日本市場では「冒険」でも、海外であれば「安定」に変わる
可能性がある
ということです。

また、欧米人、とりわけ北米人のゲームの嗜好について考えると、
同じ大作でも、演出的要素よりゲーム制作そのものにコストをかけた
タイトルでも十分に支持されている傾向がある
と思います。
(ムービーなど、演出的要素にコストのかかったタイトルが売れない
という意味ではありません)

もちろん、欧米人の好みを十分に理解し、ターゲットに合わせた
ゲームを開発する必要はありますが、ゲームデザインという点で
勝負するなら海外で」という風潮は、日本のゲーム開発者の中でも
徐々に広がってきている
ように感じています。

そして、もう一つはダウンロードコンテンツです。
現状では、まだまだビジネスとして考えるにはか細いと
言わざるを得ませんが、大作を作る前の壮大な実験場として考えるならば、
これほど自由なフィールドはない
ように思います。

・ネットワークが前提なのでゲームデザインに組み込むことも可能
・生産流通コストがほぼゼロなのでリスクが少ない
・中古市場問題のあおりを全く受けない

などなど、メリットは十分にあります。
(もちろん、デメリットも十分にあります)

ゲームに限らず、生物の進化の歴史を見てもそうですが、
多様性を失った種というのは絶滅するしか道がありません。
ゲームがそうならないように、「重厚長大主義」の問題は
見過ごすわけにはいかない問題だと私は考えています。
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2007年11月25日 Game Business トラックバック(0) コメント(2)

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2007年11月30日 編集

◆ご質問くださった方
メールアドレスを公開できないため、コメント欄での返答で失礼いたします。

現在、そして今後のPS2の利用状況などによって、
選択が大きく変わってくるため、一概に「これがよい」ということは
残念ながら申し上げられません。

少なくとも、新型PS3の方が後発で設計が洗練されている(はず)ため、
消費電力が少ないということは確かです。
こちらのWikipediaの記事も参考になってみてはいかがでしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B33#.E5.90.84.E3.83.A2.E3.83.87.E3.83.AB.E3.81.AE.E6.AF.94.E8.BC.83

個人的には、機械(ソフトではなく)は新しい方がよいに決まっている
という思想を持っているので、新型がよいのではないかと思いますが、
これに関しては特に根拠もありません。

明確なご返答ができず申し訳ありませんが、何かの参考になれば幸いです。

2007年12月01日 ykyky URL 編集












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