「モンスターハンター3」移籍の波紋(2) Game Programmer's (web)Log

「モンスターハンター3」移籍の波紋(2)のページです。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--年--月--日 スポンサー広告 トラックバック(-) コメント(-)

「モンスターハンター3」移籍の波紋(2)

さて、前回のエントリの続きです。

ユーザの方の意見で、
「リアルなグラフィックのモンスターハンターが見たい、
Wiiではそれができない」
というのも多く見かけました。
実際問題、PS3の方がWiiよりもスペックが高いことは
誰の目にも明らかですので、その点では確かに
期待に応えるのは難しいかもしれません。

ただし(私の文章には「ただし」が多いですね)、
それはPSP版の「ポータブル」にも言える話ですし、
「1」と「2」は同じPS2で出ているのですから、
ヴィジュアル面での進化というのは、
当然全くしていないわけではないとは言え、
劇的なものではなかった
わけです。

先のトレイラーでは、残念ながら細かいグラフィックの
機微については分かりませんでしたが、
ちゃんと1からWiiに向けて作り直すのであればという前提で、
PS2よりはグラフィックの進化は期待できると思います。
カプコンの技術力に関しては、もはや世界中が注目している
と言っても過言ではないほど優れたものであるというのは
もはや業界での通説になっています。
ここに関しては期待していてもいいのではないでしょうか。

さらに言うと、私が思うに、ゲームを面白くするために
重要なものは、ハードのスペックよりもむしろ、
十分な制作期間と、十分な人材
だと思っています。
(たまに奇跡的に、アイデア一発で劇的に面白いゲーム
生まれることもあるにはありますが…)
PS3で開発するために、ハードの研究やツールの開発など、
ゲーム本体部分以外で、余計な時間と人材を取られるならば、
いっそ、Wiiでその分の予算をゲーム制作に集中して回す
というのも一つの選択ではあると思います。

余談ですが、私の勝手な邪推として、
このタイミングで、カプコンPS3での開発中止を
公式にアナウンスしないということは、何らかの形で
PS3版の開発も考えているからではないか、
とも考えています。
PS3からWiiへの大どんでん返しを見せたカプコンであれば、
そのくらいのさらなるどんでん返しもありえない話では
ないでしょう。

さて、なぜカプコンPS3からWiiへの転進を決めたのか、
いくつか私の考えを述べてみます。

私が一番感じたのは、任天堂が、Wiiのインターネットへの
接続率を増やすことに積極的になった、という点が
一番大きいのではないか
と思いました。

「モンスターハンター」シリーズは、PS2という据え置きの
ゲーム機よりも、PSPという携帯ゲーム機でのタイトルの方が
売れたという事実があります。
単純に推察すれば、両者の違いは、ネットワーク接続の手軽さ、
つまりは多人数プレイの手軽さの違いではないか
と思われます。

CEDECでの講演で、エンターブレイン社長の浜村氏も
言っていたことですが、「モンスターハンター」成功の鍵は、
「おれも買うからお前も買えよ」といった、口コミによる
購買者の拡大が大きかった
というのが通説です。
おそらく、それまでモンスターハンターを知らなかった人も、
友達に勧められて買ったというケースが
多かったのではないでしょうか。

据え置き型のハードとしては、この部分がネックになります。
PS3やXbox360も、以前のハードに比べれば、ネット接続は
だいぶ簡単になったと思いますが、それでも難しいことには
変わりないと思います。もちろんWiiも例外ではありません。

ただ、任天堂はこの点に関して、NTT東日本、西日本と提携し、
コールセンターの開設や接続支援の派遣サービスを
おこなうということで、接続者数を増やす狙いがあるそうです。

ネットゲームで一番問題になりやすいのはやはり通信部分での
問題になりますので、この部分を、業界最大手のNTTが担当して
もらえるというのは、ソフトメーカーにとっても非常に
心強いのではないかと思います。
なにせ、自社のサポートセンターでは、ネット接続に関する
問い合わせは全て任天堂のコールセンターに回せる
のですから、
この部分にコストを割く必要がなくなります。

この任天堂の試みによって接続者が増え、多人数プレイに対する
障害が取り払われるのであれば、ネットワークでのプレイを
前提としたこのシリーズにとっては好都合という他ありません。

ネットワークインフラという点の他に、
もう一つ注目したいのは、このゲームのターゲットとなる
ユーザ層についてです。

ユーザの方の意見に多かったのが、
Wiiは子供向けハードなので、難易度が下がらないか心配」
というものでした。
しかしながら、モンスターハンターを一番支持している層は、
中高生だ
という風に言われていますので(浜村氏いわく)、
新ハード3機種の中ではもっとも値段が安いWiiを選んだのは、
中高生にとってはありがたい話ではないかと思いますし、
そのターゲット層は変えないだろうと思います。
同じタイトルを冠している以上、ターゲットやコンセプトを
変えるというのは考えにくい話です。

(シリーズ末期にたまに見られる光景ですが、
そのまま沈没することが常です…)

まあ、低年齢層向けと言われる「ロックマンエグゼ」
シリーズの難易度が、とても大人にはついていけないような
ものになっている(毎回ラスボスは鬼です)ことを考えても、
子供相手だからと手ぬるいゲームを出すような
メーカーではない
でしょう。
さらに言うと、「バイオハザード4 Wiiエディション」も
ライト向けな広告戦略とは裏腹に、オリジナルどおりの
一切容赦のない難易度設定になっていましたので、
この辺に関しても、いい意味で媚びないことと思います。

さらに言うと、信じがたい話かもしれませんが、
「モンスターハンター」シリーズは、
海外では日本ほどの人気がありません。

日本における「HALO3」ほど…というとさすがに
少なすぎる数字ですが、「Grand Theft Auto 3」程度だと
思っていただければよいかと思います。
VG Chartzのデータ
によると、
およそ、日本の1/10程度の売り上げのようです。
また、レビューサイトでも、あまり芳しくないスコアが多いです。

つまり、海外での売り上げがそれほど期待できないため、
3機種のうち、日本で一番売れているWiiを選択したのは、
ある意味賢明
と言えなくもないわけです。
同じカプコンの「デビルメイクライ4」「バイオハザード5」
PS3とXbox360のマルチプラットフォームで出せるのは、
ひとえにXbox360が北米で好調であるためという一点のみで、
国内のユーザを考えてのことではない
と思われます。

と、一通り、今回の移籍に関して、肯定的な視点から
私の考えを述べてみましたが、もちろん、
一部のユーザに対して、信頼を失ったことは紛れもない事実です。
PS3で発売する、という先の発表さえなければ、
単にWiiで発売する、という発表だけであれば、
これほどの反発はなかったと思います。

先にPS3で開発していると言ったのは、SCEに対する
リップサービスだったのか、それとも逆にSCEからの働きかけか、
実際のところは分かりませんが、ユーザを混乱させるような
安易な発表は控えるべき
だと強く思います。

今回の件で、本当に触れていないブログはないのではないか、
というほどの数の記事を見かけました。
カプコン側の狙いとして、そうやって世間で騒がれることも
含まれていたかもしれません。

「ポータブル」から入ったというユーザや、
Wiiでゲームを始めるようになったというユーザが、
今回の件で「モンスターハンター」がWiiでリリースされる
というのを知った人も多かったと思います。

過激な発言もいくつも見ましたが、率直な考えとして、
世間の中で、自分のような人間がどのような立ち位置に
いるのかがあまり分かっていないような発言も目立ちました。
ニッチなユーザを拾ってくれるメーカーもありますが、
もはやカプコンは世界企業ですので、
そういったメーカーではないと思います。
前のエントリの株価の話ではないですが、
あまり感情的になってもいいことはないと思うのですが…

最後にちょっと開発者側の意見として一言。

ユーザの方の意見で結構多かったもので、
「リモコンを振って剣を振るようなゲームは疲れるから嫌だ」
というのがあったのですが、出てもいない情報を
さも確定情報のように書かれるのは非常に困ります。


ユーザ側からでも容易にどうなるか分かることを、
作ってる側の人間が分からないとでも思っているのでしょうか。
(たまにそういうゲームもありますが…)

リモコンを振るなら振るで、ユーザが自発的にどうしても
振りたくなるようなゲームを作るのが開発者の使命
ですので、
その点に関しては腕の見せ所だと思います。

振るにせよ、振らないにせよ、面白いゲームになることを
期待しています。個人的には「これこそリアルな狩猟体験だ!」
とばかりにリモコンを振りまくり、疲れまくるゲームでも
それはそれで他人事ながら面白い
と思ったりしますが。
「Wii Sports」や「Wii Fit」は疲れさせるためのゲームですしね。
スポンサーサイト

2007年10月14日 Game Business トラックバック(0) コメント(4)

>ユーザ側からでも容易にどうなるか分かることを、
作ってる側の人間が分からないとでも思っているのでしょうか。

とはいっても、現実にドラクエソードみたいな駄作も生まれてますし、
タッチペンオンリーが仇となっているDSのASHみたいなゲームがゴロゴロあるので、
情報がまだ確定でなくてもユーザーが批判するのは当然だと思います。
逆に、スマブラXのようにGCコンを推奨、とユーザーのことを考えて割り切って
作っている作品の方が少ないのではないでしょうか。

2007年10月14日 モグ URL 編集

◆モグさん
コメントありがとうございます。
なんだか交換日記のような感じになってきましたね。

「ドラゴンクエストソード」が本当に駄作だったのか、
そして、駄作だった原因が、リモコン操作にあったのか、
という前提条件に関してはさておくとして、
仮にそうだったとしても、単なる憶測だけで、
その点に関して批判をするというのを正当化する
理由にあたるとは私には思えません。
過去のゲームがそうだったので「モンスターハンター3」
もそうなるに決まっているというのは乱暴ではないでしょうか。

余談ですが、個人的には、リモコン操作が原因で
失敗しているゲームがゴロゴロあるという印象は特にありません。
リモコン操作の有無以前に、単純にゲームとして
面白くないものはいくらでもあると思いますが。

エントリ内の文章が少々言葉足らずだったかもしれませんが、
「もしもリモコン操作があるのなら、疲れそうなので嫌だ」
という意見であれば理解できるのですが、
私がいくつかのサイトで見たのは、さもそれが決定事項で
あるかのような意見でした。

仮にそれを容認してしまうと、今後リリースされる
全てのWiiのソフトが「リモコン操作があるだろうから
駄作に決まっている」ということになってしまいます。
逆に「モンスターハンター3」だけが批判の対象になる
理由もどこにもありません。
意地悪な言い方をすると、「大乱闘スマッシュブラザーズX」
が同様の批判を浴びていない理由がありません。

「大乱闘スマッシュブラザーズX」がゲームキューブや
クラシックコントローラを推奨しているのは、
単にゲームデザインに最も適したコントローラだからであって、
Wiiリモコンが最も適したコントローラであるゲームデザインならば、
同じスタッフが作っても当然Wiiリモコンを推奨するでしょう。
「従来のコントローラを推奨すること」がユーザ想い
なのではなくて、「ゲームデザインに合ったコントローラを
推奨すること」が本当にユーザ想いなことだと思いますが
いかがでしょうか。

2007年10月17日 ykyky URL 編集

モンスターハンターのデザインに適した操作というのはやはりPSPで採用されたボタン操作であると思います。
ですから、Wiiでもしリモコン操作を採用するなら、批判が多く来ると思います。
すでに憶測で批判は多いですが、Wiiを選択した時点でリモコン操作になる確率は高いと思われます。ボタン操作にも対応させればいいだけの話ですが。
もちろん、モンスターハンターだけではなく、全てのゲームに言えることです。
リモコン操作はWiiスポーツのような短時間で遊ぶゲームには向いていますが、従来型の長く遊ぶゲームには向いていないと思います。

2007年10月18日 モグ URL 編集

◆モグさん
コメントありがとうございます。

>モンスターハンターのデザインに適した操作というのはやはりPSPで採用されたボタン操作であると思います。

と思っているのは、モグさんだけではなく、開発陣も同じではないでしょうか?
なのでなおさら、リモコン操作のやり方については慎重になっていると思います。
もちろん、リモコン操作が必須のデザインに変えてくる可能性は十分ありますので、
そのときはその限りではありませんが。

モグさんがお書きになったように、前提を述べた上で意見を述べられていれば
特に言うこともないのですが、「もしリモコン操作を採用するなら」の部分や、
「Wiiを選択した時点でリモコン操作になる確率は高い」の部分を省いて
批判をすれば、その文章を読んだ人は確実に誤認してしまいます。
そういう意味で、批判する人ももう少し冷静になっていただきたい
というのが私の考えです。
後々、仮にリモコンを使わなくても遊べます、となったときに
逆に嘘つき呼ばわりされるのは批判していたその人になってしまうわけですから。

>リモコン操作はWiiスポーツのような短時間で遊ぶゲームには向いていますが、従来型の長く遊ぶゲームには向いていないと思います。

エンターテインメント産業は、世間の常識の上をいってなんぼの商売ですから、
そこを打ち破ってくれるゲームが出てきてくれることを切に願っています。
まあ、私自身も他人事ではないわけですが…

個人的なことで言えば、「バイオハザード4 Wii Edition」は、
以前のハードのバージョンを上回る出来だったと思っています。
ゲーム内時間にして40時間ほど遊びましたが、快適に遊べました。
VG Charzによると、売り上げも上々だったようです。(83万本)
http://www.vgchartz.com/games/game.php?id=6163
「メトロイドプライム3」も少しだけ遊びましたが、
リモコン操作をうまく生かした良作だと思いました。
アメリカではすでに発売されていますが、なかなかの評価のようです。

長く遊ぶ、というのがどのくらいのレベルを指しているのか、
モグさんと私とでは認識が違うかもしれませんが、
1日2~3時間遊ぶ程度であれば、リモコン操作でも
十分可能なレベルだと思っています。
本当は言ってはいけないのかもしれませんが、私自身は、
1日にそれ以上長く遊んでもらうことはあまり望んでいません。

「Wii SPORTS」や「ドラゴンクエストソード」のように、
常にリモコンを振りっぱなしにするゲームの方が
今後は珍しいくらいだと思うので、使用する頻度を調整すれば、
従来型(何をもって従来型かはさておき)でも
有効な使い方はできるような気はしています。
一番たくさん押すボタンをリモコン操作に変更してしまえば
疲れもすると思いますが、ここぞというタイミングでの入力ならば、
ボタン入力よりも没入感が増して面白いものが作れる可能性は感じます。

2007年10月20日 ykyky URL 編集












管理者にだけ公開する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。